プロダクションノート
シニアダンスチーム「ヒップ・オペレーション・クルー」を初めて知った時、彼らのストーリーなど大した事はないだろうと我々撮影班は思っていた。 しかし、平均年齢83歳の彼らがヒップホップダンスに挑戦するという奇抜で滑稽とも言える大前提、素晴らしい登場人物たち、音楽、ダンス、 彼らの住むワイヘキ島の穏やかな空気、そしてそれとは対照的なラスベガスの華やかさ…ドキュメンタリー映画となるべき要素は全て揃っていた。 しかし、「彼らはそこまで辿り着けるのか?」という大きな疑問があった。更なる大問題は「彼らはそれまで生き伸びるのか?」という事だった。
撮影班は2012年12月から撮影を始め、島で時間を過ごしながら登場人物と彼らのストーリーを知り、メンバーにはスタッフとカメラに慣れ親しんでもらった。 そして本格的な撮影は2013年3月末に開始した。撮影の間中、我々はマネージャーのビリー・ジョーダンと緊密にやり取りをしながら撮影とイベントの連携、 そして個々の登場人物たちとの時間を作っていった。スタッフは毎月平均4~5日間をワイヘキ島で過ごし、メンバーはすぐにカメラの存在を忘れてしまっていた。 撮影の初めから、主要キャラクターを中心に据えてラスベガスまで行くという展開ではなく、各々の登場人物の過去のストーリーと実際のヒップホップの旅を繋ぎ合わせ、 むしろアンサンブルのような作品とすることにした。
しかし、ストーリーはデザイア・ダンス・アカデミーとの出会いにより、思わぬ展開を見せた。10代を中心とする若いヒップホップダンサーたちは、 ヒップ・オペレーション・クルーを温かく受け入れて交流する。平均年齢83歳のチームがヒップホップ・インターナショナルのニュージーランド大会でそのダンスを披露した時には、 若い世代が大半を占める観客から総立ちの大喝采を受けた。そして、デザイアもラスベガスの世界大会に出場し、ヒップ・オペレーション・クルーを後押しした。二つの世代の関係が、 映画に感動的なシーンを提供している。